鏡開き


<鏡開きとは 2-1>

鏡開きは、正月の間、年神様に供えた鏡餅を木槌などで叩いて割って食べ、一年間の無病息災を願う正月行事です。割るという言葉を避け、運を開くにちなみ「鏡開き」といいます。開くことで正月に区切りをつけ、その年の活動開始との意味もあります。

 

出典: フード・アクション・ニッポン

 

 

<鏡開きとは 2-2>

1月11日(旧暦でも1月11日)

お供えを下ろして食べる日


正月に年神に供えた鏡餅を下ろして食べる行事。


刃物で切るのは縁起がよくないので、手で割ったり、木槌でたたき割ったりします。


鏡開きは「切る」を縁起のよい「開く」にいい変えた言葉です。


開いた鏡餅は、ぜんざいやお汁粉にして食べます。


もともとは1月20日に行われていました。


武家では鎧兜に供えた具足餅を「刃柄祝(はつかいわい)」として雑煮にして食べ、女性も鏡台に供えた鏡餅を「初顔祝」といって二十日祝にかけて祝いました。


ところが、徳川家光が亡くなったのがこの日なので、11日に変更になったといわれています。


鏡餅を下ろして開くことは、正月の終わりを意味します。

 

出典: ワイドバラエティー

 

 


♦詳細

<鏡餅には不思議がいっぱい>

あらためて考えると「鏡餅」には不思議がいっぱい!

お正月には鏡餅――慣れ親しんだ風習ですが、あらためて考えてみると、疑問に思うことが多いはず。いったいなぜ飾るのか? なぜ鏡餅というのか? なぜ丸い餅を2段重ねるのか? 鏡餅の飾り方と意味は? 鏡餅を飾る時期は? なぜ鏡開きをするのか? 


不思議だらけの鏡餅ですが、じつは、鏡餅を知ることでお正月の本意がわかるのです。時代や地域によって解釈が異なる場合もありますが、ここでは基本を紹介します。



・なぜ鏡餅を飾るの? 

鏡餅は、新年の神様である「年神様」の依り代です。そもそも一連のお正月行事というのは、新年の神様である「年神様」を家に迎えて・もてなし・見送るための行事ですが、お迎えした年神様の居場所が鏡餅です。


鏡餅の役割は、それだけではありません。年神様は、新しい年の幸福や恵みとともに、私たちに魂を分けてくださると考えられてきました。その魂の象徴が鏡餅です。


魂というと驚きますが、生きる力、気力だと思ってください。昔は、年の初めに年神様から新年の魂を分けていただく、つまり、一年分の力を授かると考えられていたのです。わかりやすい例に「数え年」があります。毎年魂を分けていただくということは、その数を数えれば年齢になります。そこで、母親のお腹の中にいるときにすでに魂があるから誕生時は1歳で、その後は元旦がくるたびにみんな一斉に年をとる「数え年」だったわけです。


では、どうやって年神様から魂を分けていただくのでしょう? 家にいらした年神様は鏡餅に依りつきます。すると、鏡餅には年神様の「御魂」(みたま)が宿ります。この鏡餅の餅玉が、年神様の御魂であり、その年の魂となる「年魂」です。そして、年魂をあらわす餅玉を、家長が家族に「御年魂」「御年玉」として分け与えました。これがお年玉のルーツで、玉には魂という意味があります。


・雑煮

「お雑煮」は御年魂をとりこむための料理でした

この餅玉を食べるための料理が「お雑煮」で、餅を食べることで体に魂を取り込みました。ですから、お雑煮には必ず餅が入っており、お雑煮を食べないと正月を迎えた気がしないという感覚も間違ってはいないのです。餅というのは稲の霊が宿るハレの日の食べ物で、食べると生命力が与えられるとされています。


また、鏡餅には「歯固め」という意味も含まれていました。歯は生命の維持にとても大切で、丈夫な歯の持ち主は何でも食べられ、健康で長生きできます。そこで、年始に歯の丈夫を祈って行われる行事を「歯固め」といい、固くなった鏡餅を食べました。現在の鏡開きが「歯固め」の儀式にあたります。


・なぜ鏡餅というの?

鏡餅

鏡餅は年神様がよりつく依り代です

昔の鏡に由来します。昔の鏡というのは丸い形をした銅鏡ですが、鏡というのは、天照大神から授かった三種の神器のひとつであり、伊勢神宮をはじめ、鏡をご神体としているところもたくさんあります。鏡餅は年神様の依り代ですから、ご神体としての鏡をお餅であらわし、「鏡餅」と呼ばれるようになりました。



・なぜ丸い餅を2段重ねるの?

丸い形は、昔の丸い鏡を模しており、魂の象徴でもあります。大小2段で月と太陽、陰と陽を表していて、円満に年を重ねるという意味も込められています。



・鏡餅の飾り方と意味は?

一般的には、三方(さんぽう。折敷に台がついたお供え用の器)に白い奉書紙、または四方紅(四方が紅く彩られた和紙)を敷き、紙垂、裏白、譲り葉の上に鏡餅をのせ、昆布、橙などを飾ります。また、地方や家によっては、串柿、勝栗、五万米、黒豆、するめ、伊勢海老などの縁起ものを盛ります。


ひとつひとつに正月にふさわしい意味があり、思いを込めてお供えします。


【裏白】

シダの一種で、表面は緑色ですが、裏面が白いので後ろ暗いところがない清廉潔白の心を表します。また、葉の模様が対になって生えているので、夫婦仲むつまじく相性の良い事、白髪になるまでの長寿を願います。


【譲り葉】

新しい葉が出てから古い葉が落ちるので、家督を子孫に譲り、家系が続くことを表します。


【昆布】

よろこぶの意。古くは昆布の事を「広布」(ひろめ)と言い、喜びが広がる縁起もの。さらに蝦夷(えぞ)で取れるので夷子布(えびすめ)と呼ばれ、七福神の恵比寿に掛けて福が授かる意味合いもあります。また、「子生」(こぶ)と書いて子宝に恵まれるよう願います。


【橙】

「代々」とも書く。果実は冬に熟しても落ちにくいため数年残ることがあり、1本の木に何代もの実がなることから、長寿の家族に見立てて家族繁栄、代々家が続くことを表しています。


【串柿】

干し柿を串に刺したもの。柿は「嘉来」に通じる縁起もので、干し柿は「見向きもされない渋柿でも、修練の末には床の間の飾りにもなる」という高い精神性を表します。串に刺した串柿は三種の神器の剣を表し、「鏡=鏡餅、玉=橙、剣=串柿」で三種


・鏡餅を供える場所は?

鏡餅は床の間に供えるのが理想的

住宅事情によって異なりますが、鏡餅の意味を考えると、判断しやすくなります。


鏡餅は年神様の依り代です。年神様は新年を司る神様ですが、ご先祖様であり、農耕の神様でもあると考えられており、新年の幸福や恵みをもたらすために家々にやってきて、鏡餅に依りつくとされています。お供えした場所に依りついてくださいますので、鏡餅は1つに限らず、複数お供えしても良いわけです。


そう考えると、まずメインの鏡餅を床の間へ、小さめのものを神棚や仏壇にお供えします。床の間がない場合には、リビングのように家族が集まる場所に飾ります。年神様がいらっしゃるところですから、テレビの上のような騒がしい場所や、見下すような低い場所ではなく、リビングボードの上などにきちんとお供えします。供える方角は、その年の恵方、または南向き、または東向きが良いと言われています。


そのほかにも、台所、書斎、子ども部屋など、年神様に来ていただきたい大事な場所にお供えします。



鏡餅を飾る時期は?

鏡餅を飾る日は、12月29日と31日を避けます。29日は苦餅(苦持ち)、二重苦に通じ、31日は葬儀と同じ一夜飾りに通じて縁起が悪いからです。従って、12月28日までに飾るか、遅くとも30日に飾りつけます。


そして、1月11日の鏡開き(※)で、お供えしていた鏡餅をさげて食べます。松の内が15日までという地域では、15日に鏡開きをする場合もあります。鏡餅は、供えて→食べることに意義があるので、雑煮などにして必ず食べることが大切です。


出典: All About




♦豆知識

・どうして鏡開き(1/11)の前に鏡餅を食べちゃいけないの?

どうしてこれも「鏡開き」なんでしょう?次のページで疑問をスッキリ。 見るからに美味しそうですから、少しでもやわらかいうちに食べたいですよね。しかし、お正月は年神様をお迎えする行事であり、その年神様の依り代となるのが鏡餅※ですから、年神様がいらっしゃる間は食べてはいけません。


年神様がいらっしゃる間を松の内といいますが(1月7日まで。関西などでは15日まで。詳しくは⇒こちらです)、松の内が明けた11日に鏡開きをする のはそのためです。(松の内を15日とする地方では、鏡開きを15日または20日に行う場合が多いです)


また、昔は二十日正月といって20日に鏡開きを行っていたのですが、徳川三代将軍・徳川家光が慶安4年4月20日に亡くなったため、月命日の20日を避けて11日になったと言われています。もともと武家社会の行事(次ページ参照)なので、日付変更も適切な措置だったのでしょう。


・鏡餅を飾っておくだけじゃダメなの?

これはこれでカワイイのですが、本物のお餅じゃないと都合が悪いんです…(画像:空に咲く花) 鏡餅を飾っておくだけだと、年神様にお供え物をしたにすぎません。また、鏡餅は単なるお供え物というよりも、年神様が宿るところだと考えられているので、鏡餅を開くことで年神様をお送りし、お正月に一区切りつけるのです。


さらに、年神様の力が宿った鏡餅をいただくことでその力を授けてもらい、1年の一家一族の無病息災を願います。供えて、開いて、食べてこそ鏡餅の意味があるんですね。



・「鏡開き」という理由は?

鏡開きで正月に一区切りつけるということは、その年の仕事始めをするという意味がありました。武士は具足などを納めていた櫃(ひつ)を開き、商家では蔵を開き、農村では田打ちという作業をして1年の出発としていました。剣道などの武道で、新年の道場開きに鏡開きをする(またはお汁粉などをふるまう)のは、その名残りです。


もともと武家から始まった行事なので、刃物で切るのは切腹を連想させるため、包丁などの刃物で切るのは禁物で、手で割り砕くか、槌(つち)で割るようになりました。また、「割る」という表現も縁起が悪いので、末広がりを意味する「開く」を使うようになり、「鏡開き」になったのです。



披露宴でも人気の鏡開き。「鏡」には円満、「開き」には末広がりという意味もあります。宴会の終了が「お開き」なのも縁起がいいからですね。 樽酒の蓋を割ってお酒をふるまうことも鏡開きといいますが、これは樽酒の蓋のことを酒屋で「鏡」と呼んでいたからです。


・酒も「鏡開き」というのはなぜ?

披露宴でも人気の鏡開き。「鏡」には円満、「開き」には末広がりという意味もあります。宴会の終了が「お開き」なのも縁起がいいからですね。 樽酒の蓋を割ってお酒をふるまうことも鏡開きといいますが、これは樽酒の蓋のことを酒屋で「鏡」と呼んでいたからです。

農耕民族の日本人にとって、米からできる日本酒は神聖な意味を持ち、様々な神事を営む際に供えられ、祈願が済むと参列者でお酒を酌み交わして祈願の成就を願う風習がありますね(これを直会<なおらい>といいます)。このお酒が樽で供えられたときには樽の蓋を割ってお酒をふるまうわけですが、やはり縁起の良い「開く」という表現を使うのです。


つまり、鏡餅の鏡開きも、樽酒の鏡開きも、新たな出発に際して健康や幸福などを祈願し、その成就を願うということ。このことから、新築家屋が完成したときや、創立記念日、結婚披露宴などで樽酒の鏡開きをするようになったのです。



・現代版・鏡餅の鏡開き

お汁粉には、魔除け効果のある小豆も入っています。 現在はあらかじめ小分けされた餅をパック詰めした鏡餅が主流になり、鏡開きはパックを開くだけになりました。やはり餅を包丁で切ってはいけませんが、包丁の出番すらないでしょう。楽になっても、子供に鏡開きの由来や意味を伝えるのを忘れないでくださいね。


伝統的な鏡餅の場合、相当乾燥していないと槌(木槌や金鎚)で叩いてもなかなか割れません。そんな時は、『半日ほど水に漬けてから、電子レンジで八分どおり軟らかくして、手で千切って…』という [料理のABC]大石ガイド流が役立つでしょう。


・鏡開きのお汁粉 [料理のABC]

また、お雑煮やお汁粉にして食べるほかに、かきもちにする方も多いと思います。かきもちの「かき」とは、手や鎚で割ることを「欠き割る」ということから「欠き餅」になりました。油で揚げて塩や醤油をまぶすだけ! 揚げたてはとても美味しく、おやつやおつまみにぴったりです。


出典: All About



<鏡餅の食べ方>


・お汁粉が一般的ですが、甘いものが苦手な人は、あられ餅にして食べるのがおすすめ。

カチカチになった餅もおいしくいただけます。


・あられ餅の作り方

鏡餅を1cm角ぐらいに砕いて、天日干しにする。

それを170℃ぐらいの油で揚げて、油を切ったところに塩を振る。


出典: ワイドバラエティー