稲刈り


<稲刈りとは 2-1>

稲が熟する秋に、その穂ごと切り取るのが稲刈りです。稲刈りは、日本の秋の代表的な風物でもあります。この時期には、その年の稲が無事に収穫されたことを祝い、来年も豊作であることを祈願する「秋祭り」なども各地で行われます。


出典: キノギフト



<稲刈りとは 2-2>

穂が出てから約40~45日、黄金色の稲穂が垂れ下がると稲刈りです。早く刈りすぎると米が充実する前で収量が少なく、遅れると収量は増えますが、籾が熟れすぎて米の色やつやが悪くなります。タイミングが大切です。秋に夕焼けになると翌日晴れることが多いので、鎌を研いで準備をしておきます。


昔は草刈り鎌の古いものを稲刈りに使っていたようですが、明治の初め頃から稲刈り専用の鋸鎌を使うようになりました。刈り取る位置は田面から5~6cmほど上です。右手に鋸鎌を持ち、稲株を左手で握って、順次刈り取りながら移動します。5~6株で左手がいっぱいになると地面に置きます。これを「一手刈り」といい、もう1回の分と合わせた「二手刈り」で一把とします。藁などで束ね、その日のうちに稲架(はさ)に掛けるのが原則です。半日稲刈りをして、半日は稲を稲架に運んで掛けます。


出典: くぼたのたんぼ

 

 


♦詳細

穂首の茎の2/3が黄土色になり、田んぼ全体の2/3が黄土色になったら稲刈り時。放っておくと先が折れてしまい、脱穀が大変になる。

稲刈りの1ヶ月前に水路の入口を止め、それから半月して稲刈りの10~20日前に水路の出口を切っておく。水を止めるのは、米の生育が止まったとき水があると根が侵されるから、稲刈り作業がしやすいから、乾燥を好む麦を播くからである。


稲の刈り方

朝露、雨の日は稲刈りは行ってはならない。束ねた後に干しても中の方が乾かない。


風雨等で稲の倒れている方向が向こうになるような向き(風上)から刈り始める。バラバラの向きに稲が倒れているときは、以下のような効率的な刈り方ができないので、丁寧に刈る。干したときや脱穀のときに抜け落ちないよう株を揃えて刈る。


種籾

稲刈りの前にまず完熟している稲を集めてよい種を確保する。色つやのよいものを確保し、病気で枯れているようなものは使わない。

手順

稲の茎を左手でつかんで刈る。このとき雑草も一緒に刈らないように気を付ける。

刈った稲を左手に持ったまま続けて3株刈る。

稲は茎が地面から3~5cmの所を刈る。

3株刈ると稲を置く。

乾燥しやすいように稲穂が広がるように、また、根元を揃えておく。次の3株は、後で縛る位置で交差させて重ねておく。

6株で1セット出来上がり。この作業を繰り返す。


効率よく稲を刈る

横3列または4列づつ(右、中、左)刈りながら前に進む。刈った稲は左端に置く。2回目に刈った稲を置くときは先程の稲に交差させて重ねておく。

田んぼの端まで刈ったら、次は、戻ってきて、また同じ方向に刈り出す。

次の列に入ったときは、稲を置いたときに人が歩ける隙間を設けておく。

鎌には最も力を使わずに切れる角度がある。ノコギリのように手前に引く。これを体で覚える。


稲ワラ

ワラを4~6本ずつ刈った稲の上に置いていく。横に置いている稲に当たらないように、少し斜めに置くのがよい。

右手に稲ワラを持つ15~20cmの所を束ねる。 一巻し、株の方のワラを1回ねじって半分に折りながら、巻いた稲ワラの隙間に入れる。

束ね終わったら、裏返して置いて稲を太陽に当てる。


稲木

日当たりを考えて、稲木を立てる方向は南北方向がよい。

稲木の上に乗せる棒は、端に太い方をもってくる。

地面からの湿気を少なくするために、米は地面から約30~50cmは離れる高さにする。

棒を重ねる場合は60cm程度重ねる。


柱は地面に突き刺さりやすいように先が尖っている。

ナタを使って3面に削る。丸よりも3面がよい。

「木づち→よこづち→かけや」ものが大きくなるにつれて、名前が変わる。

これらを使って、柱はしっかりするまで地面に打ち込む。


木の立て方

横から見ると、柱の頂点は正三角形より少し狭めにする。

足の位置は、交互にハの字になるように合わせる。風に強くなる。

柱を立てた後、上に棒を乗せる。棒は柱に固定する必要はない。稲の重みで十分である。

両端の足は2本の足の片方にもう一本結びつけて、3本足にする。足の位置は正三角形になるように配置する。


柱の縛り方

丸く巻いているひもを使うときは、ひもの端は内側から取り出す。このとき、戻そうとする力が働けば、引っぱり出す向きが逆なので、裏側から引き出す。


1回縛るのに使う長さはひとひろ。両手を広げた長さ。


一本の柱に一回巻く

最短距離で数回巻く

結び方はかた結びでよい


★稲の掛け方

稲の茎が2対1の太さの割合で2つに分けて、扇子のように開く。このとき株(根元)の方から開く。このとき結び目が太い方になるように開く。


太い方と細い方を交互に棒に掛けていく。


風に飛ばされにくい

中に雨が入ると乾きにくい

棒の端は風に飛ばされないように2~3本の稲で縛る。


天日干しする期間はその土地によって違うので、その土地のやり方に従うのがよい。その土地では気候に応じた掛け方、干す期間(10日~1ヶ月間)がある。


★スズメ対策

干したとき、穂の部分のちょうど前の米から約10cm離したところに極細いひも(スズメが留まれないほど細いひも:凧糸よりもっと細いひも)を張っておく。スズメは飛びながら米を食べに来るので、そのとき羽に糸が当たるので嫌う。


出典:米作り(赤目自然農塾)9-稲刈り-




♦豆知識

<猫の手も借りたい>

根刈りをするために、一枚の田んぼの稲が一斉に成熟するように育てます。そのため、稲刈りは一斉に集中して行うべき作業となりました。稲刈りの時期になると農休みで小学校が休みになり、子供も手伝いましたが、それでも猫の手も借りたいほどの忙しさです。そういえば、猫の手は稲刈りに向いているように見えますよね?


出典: くぼたのたんぼ



<稲刈りのタイミングで味が変わる>

あまり知られていない農業ネタ編。

今回は稲刈りの時期についてちょこっと。


水稲の収穫量というのは、簡単に解説すると、単位面積(例えば10a)当たりの籾数と、1粒の籾の重量、それに含まれるくず米の割合、等によって決まります。

最も大切なのは10a当たりの籾数を確保することですが、これはまた別の機会にでも。

話が長くなるし、それぞれの農家の企業秘密みたいなものですから。


では、稲刈りのタイミングによって何が変わるのか?


稲刈りが早いと、籾全体に含まれる未熟粒の割合が増えます。未熟粒とは、まだ完全なお米になっていない状態の粒で、緑色をしています。割ってみると、中身は白色です。農家で言う青米というやつですね。

ただし、同じ緑色でも、中身が半透明の物は問題ありません。

この場合の問題は、収穫後に玄米をふるいにかけたときに、未熟粒がくず米として選別されるため収穫量が少なくなってしまいます。しかし、残った玄米は食味に優れ、品質も良好です。


反対に稲刈りが遅い場合は、未熟粒の割合が少なく、登熟期間が長くなるため粒が肥大します。1粒の重量が増え、さらにくず米の割合も少ないため、収穫量が多くなり、一見すると農家にとって良いことだらけのように感じます。

しかし一方で、登熟しすぎた粒は胴割れをおこし、品質を低下させます。粒に艶がなくなり、茶色の米が混じるようになります。

胴割れとは、米の中心付近に横方向のヒビが入る状態で、そのうち上下に割れてしまいます。米の検査において、被害粒以外で落等する主要な要因となっています。

当然ながら、このような玄米では食味は期待できません。


各地の農業指導にあたっている、県・市町村機関、農協などでは、秋になると「適期刈り」を呼びかけています。

ですが、農家の収穫時期を見ていると、少し遅めに刈り取っている場合が多いような感じがします。

なぜか?

簡単に結論すると、やっぱり少しでも収穫量がほしいから。ということになるのでしょうか。

一般的な農家は、収穫した米を農協や業者に出荷します。

その際、食味で価格が変わることはありません。試食してから買い付けするわけではありませんから。

価格を決めるのは見た目の品質です。

ならば、胴割れがおこる寸前まで収穫量を確保したいと考えるのは、ごく自然なことだと思います。


しかし、当店のように直接販売をおこなっている農家の場合は、食味が良いというのはとても重要です。

ちょっとでも美味しいお米を食べてほしい。

なので、わが家では「適期よりも少し早め」を目標に稲刈りをしています。


よく父が言います。

「米というのは、少しアオが入るくらいが一番旨い」

実際に食べてみるとよく分かります。


良食味。 やっぱり大事ですよね。

 

出典: 農家直送 佐藤農園