山開き・海開き


<山開き・海開きとは>

日本の伝統的な宗教である神道は多神教です。神道では神や女神が様々なものに宿ると信じられています。たとえば、日本人は神や女神が高い山に宿ると信じてきました。人々は高い山々を崇拝し、山の神々を恐れ敬い、山に登ることを禁じていました。ただし、一定の期間、山に入ることを許し、その期間の始まりを「山開き」と呼んでいました。しかし、今日では、山開きは一般的に、夏の登山シーズンの幕開けを意味します。6月から7月にかけ、地域住民や登山者が山開きの式典のために高い山々の麓に集まります。彼らは登山シーズンの始まりを祝い、安全な登山を山の神に祈ります。日本で一番高い山、富士山では、毎年7月1日に山開きの行事が行われます。また、7月には日本中の海岸で、地域の人や海水浴客が集まり、海水浴シーズンの始まりを祝います。これは海開きと呼ばれます。これは必ずしも神道による海岸や海の信仰に基づいているわけではありません。しかし、山開きと同様に、人々は海水浴シーズンの始まりを祝い、海岸における海水浴客の安全を祈ります。山開きも海開きも日本人に夏の訪れを告げてくれます。


出典: クロスカレンツ




♦詳細

<海開きとは>

まず海開きですが、これは大きな事故なくその年の海水浴シーズンを過ごせますようにと言う願いをこめた行事になっています。

というのは、古来より海には危険が多く、人々はそれを「海の神の祟り」と考えて恐れ敬ってきたからなのです。

例えば大潮や台風被害、サメによる被害、クラゲなど、海で生じる危険は確かに少なくありません。

現代でもそれは同じで自然の驚異的な力の前で人間は無力です。

そのため、海水浴シーズンを迎えるに当たり、謙虚になって海の神を奉り、そのシーズンを安心して過ごす事ができるように行事を行うわけです。

基本的に海開きは神事になっており、神主がイベント会場を訪れて安全祈願を行います。

もちろん、海水浴シーズンの始まりを告げるイベントですので、その後にはお楽しみがあり、水着の販売や炊き出しなどが行われることが多いようです。

時期は地域によってさまざまで、温暖な地域は4月に海開きするところもあります。

一般的には6月末から7月くらいが海開きのシーズンになります。

海開きを主催するのは地元の観光協会や商工会観光課などですから、気になる地域の海開きに関しては問い合わせてみるとよいでしょう。


<山開きとは>

一方、山開きは何かというと、こちらも一年を通じて山で事故などがなく過ごせるように祈願するのが目的で行われるイベントです。

厳密に言うと「山開き」は開山ともいい、まだ頂上が極められていない山に初めて登頂することを指していますが、今の時代未踏峰はほとんどありませんので、登山シーズンの安全祈願の一環として行われるようになっています。

そもそもなぜ山開きのイベントが行われるのかというと、古来より日本では山に対する信仰が深く根ざしていたからなのです。

山には神が宿るとされており、気軽に登山するという事はありませんでした。

山に入るということは神に近づくということであり、信仰行事の一環とみなされていたのです。

そのため、夏の時期だけ許された登山を行うに当たり、神の保護と安全を祈願したのが山開きの起源といえます。

今でも富士山など有名な山では大規模な山開きが神主臨席の元で行われています。


出典:四季折々~四季と行事の関係




♦豆知識

7月1日は「山開き」「海開き」「川開き」が行われる日です。

7月1日というのは一般的に行われているとされる日であり、地方によってはもう少し早くに行うところもあります。


■山開き

「山開き」とは、スポーツとしての登山シーズン開始を祝う行事です。

山開きの由来は、昔の信仰行事にあります。

かつて霊山(神聖視され崇拝の対象となる山)は、登山は禁止とされていました。しかし夏季に登山が許可される期間があり、この始まりの日を山開きとしたのです。山開きの日には、開山祭を行って山の神をまつり、登山の安全を祈りました。

最近では、このような信仰的な行事はほとんどなくなり、登山期も年中自由な状態となっています。


■海開き

「海開き」とは、海が一般的に公開され、広く海水浴場などになることです。

海開きは、山開きや川開きに倣った造語です。

海開きは8月いっぱいまで続けられますが、一般にはお盆の頃が書き入れ時とされています。


■川開き

「川開き」とは、川の納涼の季節の開始を祝う行事です。

昔は、水難事故の防止を祈る行事として行われていました。

現在では、花火大会を行うなどして川開きをお祝いします。江戸時代から行われている両国の川開きは特に有名で、現在隅田川の花火大会として親しまれています。


出典: 冠婚葬祭マナー辞典